家は内と外の境界線 第四回
内と外のお話も第四回
今回は少し私の恩師の古谷誠章氏が講習会で話した事を
考えてみたいと思います。
モンゴル高原に暮らす遊牧民達はゲル(家屋)で生活されています。
一般的にパオとも言うみたいですが
簡単に言えばテントのような構造の移動式住居です。
ゲルはとても住居としては進化したおもしろい構造になっていますが
いまはそこは置いておきます。
古谷氏談
「ゲルで暮らす方々は家の中には隔ても壁もなくプライバシーがありません。
なにせトイレすら無いのですから。
ではその人達にはプライバシーが無いのでしょうか?
いえ、一度ゲルの外に出てしまえば廻りには草原がひらけ
人がいるわけでもなく、十分孤独になることが出来るのです。
家の外にこそプライバシーが存在するのです。」
私にとっても衝撃的でした。
プライバシーというのは「家の内」の状況というわけでなく
人に与える条件から導かれるのです。
ならば条件さえそろえば家の外でも内でもプライバシーを
確保出来るのではないかなと思うわけです。
家の内の外の境界線 第三回
敷地に家を建てれば
敷地の中で「家の内」と「家の外」が出来ます。
その境界になるのが家の壁でもあり屋根でもあります。
今回は「敷地の中の家の外」とは少し違い
「家の外で更に敷地の外」の事を考えてみます。
窓から見える風景
というのは基本的に敷地の外の風景です。
よりよい風景を家から眺めたいという気持ちはあるのですが
それはここではひとまず置いておきます。
家を敷地目一杯に建てた場合と
家を隣地の建物だったり周辺環境(敷地の外)を考えた上で計画した場合のお話です。
目一杯建ててしまうと隣地建物との距離が非常に短く
窓からは隣の建物を見る風景になることがよくあります。
逆に言えばその窓の前に「壁」があるのと一緒の事ですね。
これでは日の光が入ってくるのは少し難しくなってしまいます。
しかし日照角度から窓の高さ・形と大きさなどを考えれば
見えてくる風景も全く違う物になります。
この為に一番大切なのは隣の建物までの距離です。
隣との距離さえあれば
窓を高い位置に持って行けば
人は見上げるように空を見ることが出来るでしょう。
地面すれすれの窓にすれば地面しか見えないでしょう。
それも隣地との距離次第なのです。
本当に必要な距離を配置するには
敷地より外の部分の環境も大きく影響してきてしまいます。
家は内と外の境界線 第二回
前回のお話から
家は外と内の境界線に存在する物として考えると
「家の外も中の様に使用できる」
としたらどうなるのでしょう?
少し考えてみた一案を書いてみます。

1階のスペースをオープンに考え
大小ある庭にはみ出していけるプランです。
「抵抗なく外に出て行ける」
ということは裏を返せば外の土地も
内部として利用できるのではないでしょうか。
通常の閉鎖された内部は2階にあり
天候・気候によって使い分けを行います。
家の外とつながっていると衛生的な問題があります。
空調の問題から雨の排水から泥汚れの棲み分け
靴にしてもどう使うか
いろいろに考えることは無尽蔵に増えていきます。
しかし、そういったことを計画をしプランニングするのも
私の勤めなのです。
上の案はあくまで例ですが
色々考えた上でコンセプトを決定し計画すれば
住む人にとって新しい空間の一つが出来
新しいライフスタイルが生まれると思います。
家は内と外の境界線 第一回
「家」というのは
外の世界と中の世界の
「境界線」ともいえますね。
今回はその境界について少しお話してみようと思います。
普通家を建てる時は今ある敷地を利用して
コストの許される限り最大限の建物を建てようという事を
考えておられる方もいらっしゃいますし
それが価値を高める当たり前の事と思われている節があります。
特に日本では土地は非常に高価な物です。
余らせればもったいないと言う気持ちがありますね。
これはとても大切なことなんです。
実は日本の戸建て用の団地敷地分割は
この定義で「一戸建て」の建物が入る大きさが決まり
その値段が決まっている様に思うのです。
その為なおさら団地では一戸建てが綺麗に入る状態になり
お隣さんとの距離もそれなりにといった状態になります。
分譲住宅街のどの建物も殆ど同じ配置になってしまうのも
これが原因かもしれません。
だからといって建物の形を考えて敷地を変えることなんてできませんね。
では、もし「家の外も中の様に使用できる」
なんて考えが浮かんだらどうでしょうか。
次回はそんな家の内外の事をもう少し掘り下げて見たいと思います。
風の回る家

何も考えずに水槽の中に、
買ってきた熱帯魚を放すとどうなるでしょうか。
それと同じように、家も周囲の環境に非常に敏感なのです。
ですから、色々な事を土地や環境、そして風土に学ぶべきだと思います。
設計するにはたくさんの情報の中で考えて行けたらといつも思っています。
「気持ちの良い風がどちらから吹くのか」
「暖かい日差しはどちらからくるのか」
「廻りの家からの影響はどうなのか」
という基本的な事から
「道路の交通量」
「環境からの影響」
「生活に活かせる利便性」
「地域の風潮」
「暮らす人の今までのこの土地での過ごし方」
と挙げればきりのないくらいの情報が
その土地にはあります。
簡単に想像できる家を造るだけなら
全く必要ないことかもしれませんが
私は一つ一つの情報を一度ほどいてまとめることから
全てを始めます。
「環境に良い建物」といって環境に良い材料を使用するだけでは
難にもなりません。
もっとパッシブに対応出来る物と思います。
写真で見て「黒い壁」「四角い建物」どこが周囲に・・・
次回改めで記事を書こうと思います。
ダイニングからお花見です
感じて楽しめるキッチン
私の考えるキッチンはそれに併せてもう一つ大切な事があります。
キッチンは家事の城とも言える所ですね。
一日でキッチンに立つ時間というのは案外長いと思いませんか?
食後の後かたづけをしながら洗濯物を回してみたり
家族の帰宅を待ちながら料理の支度をしていたり
冷蔵庫の中身を確認しながら買い出しの物を考えてみたり
ゲストが来る時間を気にしながら準備をしていたり
人それぞれのキッチンでの暮らし方があると思います。
風の回る家では、片付け上手な奥さんに外の風景を見て頂きながら
家事が出来るスペースをご提案させて頂きました。
ちょくちょく目の前の電線に小鳥たちが羽休めに来るようです。
そんな姿だったり、角度を少し変えてみると離れた大通りの道の車が見えてみたり
その向こうに電車の走り去る風景も見えます。
風景は北面になるため夕方になると夕陽に当たる街並みが赤く染まり
正面には山並みが見え、天気の変わって来る様が見えてきます。
そんなキッチンの配置と窓の位置を考えてみました。
「今日は道が混んでるね」
「向こうの雲行きがあやしいな雨が降ってくるかも」
「そろそろ夕方になってきちゃったね」
そんな、廻りで有ることを遮断するのでなく
自然に感じながら暮らして欲しい為の窓です。
自然と感じれば色々な事が解って来るようになり
それは気持ちの安心に繋がると思っています。
生活のゆとりというのはもっともっと自由に色々な物を
感じながら暮らせる事ではないかなと思います。

三角形の土地って無駄が多い?
どんな敷地にも建坪率【ケンペイリツ】と言うのが決まっています。
敷地を家が一杯に建ってしまうと、周囲の環境に影響が大きすぎる為
建築基準法でその割合の上限が決まっています。
その割合は土地により「住宅用」「商業用」「工場用」などと用途が決められ
その場所によって指定されています。
一般的な場合は
住宅地では60%を超えてはいけない事になっています。
となると敷地のどこかを、余らせる様に考えなければなりません。
多く見られるのが、道路側に駐車場を配置する関係と
出入り口のポーチとお庭を用意する為
上図の様に道路側を開けて建物を奥に配置というパターンでしょうか。
無駄もなく建物も正方形に近いプランニングが可能になります。
今回設計させて頂いた「風の回る家」の場合
敷地が三角形です。
「三角形の土地は無駄が多い」
とよく言われがちですが、考え方一つで良くも悪くもなるのです。
「風の回る家」の敷地は見事な三角形でした。
そこに家を配置します。
今回の場合はこのように配置させて頂きました。
図の下側が道路なのですが道路に沿う様に、建物は長細くなっています。
何故こうした形になったかにも理由があります。
三角形の土地に四角の建物を持ってくることで
建物の廻りに三角形の空き地が出来ます。
その三角形の空き地もやはり大切な土地なのです。
「勿体ないから建物をいっぱいまで建ててください」
と言われる方も居ますが勿体ないから敢えて建物で詰めずに
空き地にして新しい利用方法を考えるのも一つだと考えます。
・隣の建物と平行に配置されない為に視線が合いにくい
・隣の建物までの距離が一定にならないために建物同志に一定の距離感が保てます。
・一定でないために風も光も場所により変化することになります。
通路のような外構では明るさに変化もなく
普通の場合はただの通路の様な建物も外も
変化ある空間として利用出来ます。
室内からみても
窓の外がすぐ通路というより何か別の物の方が
人にとっても優しいのではないかと感じます。
日の光は南側から来るとします。
一般的なプランの場合こういった日の当たり方をしますね。
ですが三角形の敷地に建った長細い家の場合は
こうなります。
では二つの場合の光が外壁に当たる面積を考えてみましょう。

見て頂くと、影の面積は長細い建物の方が大きい事になりますね。
あくまで方位を考え敷地を考えた結果なので
全ての土地でこれが良いとは当てはまりません。
因みに南東に長い建物にした場合は、
全く逆の効果になってしまいますね。
ですが少なくともこの三角形の土地に建つ家に沢山の光を
取り込める配置と形は長細い建物の方が
四角い家より有利と解りますね。
どんな土地にも必ず特徴があるはずです。
それを活かして建物を考えるのと言うのが大切と感じています。
建築士宮本正崇のブログ再出発します
改めましてこのブログの筆者 宮本 正崇 [みやもと まさたか]と言います。
「優人舎一級建築士事務所」を去年立ち上げました。
孤軍奮闘覚悟で立ち上げた理由としまして
「お客さんととことん話しをし中立な立場でこだわった物造りに携わりたい」
そう思ったからです。
設計という役目は「図面を作成する仕事」と思われがちですが
実は本当の役目として「住む人の為にベストの建築物をお互いに創造しあう仕事」と思っています。
綺麗で明快な図面を書くことは大変重要な事ですがそれをいくつ書こうとも元のプランがベストでなければ全く意味を成しません。
家は大量生産できる商品ではありません
間取りはパズルでもありません
なぜなら住む人のライフスタイルから始まりその土地の周囲の環境であったり風土条件はそれぞれ全く違う為それぞれを考慮に入れ考えた上で家がを作り出さなければベストな家にならないからです。
よく家をご希望される方にお話を聞いていると
「40坪ぐらいの4LDKで2階建てでリビングは10帖は欲しいです」
という例を挙げられるます。
この条件で家のプランニングをするのはとても簡単な事ですし
お客様も容易に規模や大きさが想像しやすいと思います。
ただ決め毎には必ず理由が存在します。
例えば「リビングは10帖欲しい」を挙げれば
・ゆったりとしたリビングでくつろぎたい。
・家族みんなで集まって仲の良い生活を送りたい
・ご近所さんも呼んで楽しい時間を過ごしたい
等々人それぞれの理由が有るはずなのです。
ですから私はその本当の理由を大切にプランをお話をさせて貰いながら考えます。
そしてベストプランを導いた結果をみなさんにお送りするのが私の最大のやり甲斐です。
そんな私の考える事や日常の思うこと等を少しずつここのブログで紹介していきたいと思います。
よろしくお願い致します。






















