家の落ち着く影

鉛筆で絵を書く
モノクロ写真を撮る
そんな時明るい物を表現するために影を写しとる。
風景のほとんどは陰影によって立体感を感じ取っていると言って良いのかもしれません。

話題は再び江戸東京たてもの園
吉野邸という農家です。


床に光が当たると擦り切れた畳の柔らかな凹凸が均一ではない影を伸ばしてくれています。
古い板の建具は木目のまばらな縦縞を彩っています。
年輪を重ねた柱にある木目のくぼみにも小さな明暗が幾重にも重なっています。

最近の建物であれば床はフローリング、壁はクロスとなるべくこういうった「まばら」の無い物が多いですね。
その為真っ白なクロスに小さな黒い傷があれば余計に違和感に感じてしまいます。
とはいえ、「壊れたり汚れない」物はないのも事実。
それを考えると「使っていく」にはまばらな影のある家の方が落ち着けるのはないでしょうか。
しかし、昨今の事情によりなかなかこういった質の良い材料が扱えなくなったという側面が有るのも確かです。

人が優しくなれる家を考える私は「この均一でない」事もまたひとつ重要なことだと感じます。
その為には家にも何かしら影を揺らがせるような事も考えたいですね。

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